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社内表彰制度のメリット・デメリットとは?

社員のやる気を向上させる制度として、社内表彰制度を採用する企業が近年増えてきています。社会人になったら、仕事で頑張っても、あまりほめてもらうという機会は少ないのではないでしょうか。人は何歳になっても、ほめられたり、正しく評価してもらえたりすると、うれしいものです。ここでは、社内表彰制度の概要をはじめ、メリット・デメリット、導入時に気をつけたい点について解説します。

社内表彰制度とは?

社員が会社の業績や成長に何らかの形で貢献したことに対して賞賛する社内表彰制度。企業は、日ごろから努力している社員には、努力に対して評価を与える必要があります。社員にさまざまな目標を設定し、社員の士気を引き出せば、社内の活性化にもつながるでしょう。「努力すればいつか認められる」と、社員に仕事を頑張ることに意義を見出させる社内表彰制度は、企業から社員に感謝の気持ちを伝えるための良い機会でもあります。

社内表彰の種類

企業によってさまざまな表彰制度がありますが、以下が一般的に導入されている社内表彰です。

永年勤続表彰

企業に長年にわたって働いている従業員を労う制度です。表彰対象となる勤続年数は10年・20年といった年数で区切るケースが多く見られます。長期間勤務されている方のこれまでの労いと今後の激励も含めて、企業は感謝の気持ちを伝えます。永年勤続表彰は、長く働いていれば誰にもチャンスがある点は他の表彰と少し異なる点です。近年の傾向では、金一封や旅行券などの記念品を贈呈するケースも少なくありません。

定年退職表彰

文字通り、定年退職時に贈られるのが定年退職表彰です。定年制とは、一定の年齢を過ぎたときに従業員を退職させる仕組みといえます。退職時に、会社から贈られる表彰状や感謝状は、会社に長い間忠実に貢献してきた従業員にとっては、名誉ある印のようなもの。定年退職表彰も記念品を贈呈するのが一般的です。

正規雇用だけでなく、非正規雇用の社員も対象とする企業が多く見られます。

営業優秀者表彰

多くの企業が積極的に採用している営業優秀者表彰は、卓越した営業成績を出した社員を表彰する制度です。営業関係の仕事は、契約数やアポイントメント数など、表彰する基準を数字で具体的に示せることが多く、なぜその人が優秀者に選ばれたのかがわかりやすいのはメリットといえます。また、成果が報酬などに反映することが多いので、ほかの社員のモチベーションアップにも役立つでしょう。

MVP賞

MVP賞は、プロ野球ではお馴染みのことばですね。MVPは“most valuable player”の略で、「最も価値のある選手」という意味になります。シーズン中に最も活躍した選手、すなわち最優秀選手を表彰する際に「MVP賞」が贈られます。つまり今後も期待できる選手ということですね。

あまり社内表彰では、聞きなれない賞かもしれませんが、営業系の仕事でMVP賞を採用している企業が多いことが特徴です。スポーツ界で使われることが多いMVPですが、スポーツ選手ではなく、player(選手)→person(人)と解釈することもできます。

新人賞

活躍した新人を表彰し激励する新人賞は、スポーツ界、文学界などでもおなじみの表彰ですね。社内表彰でも、入社1年未満の新人の中から、他の新入社員の手本となるような、優秀な新人を表彰します。新人賞は、会社の今後の担い手としての期待が込められているため、新人賞を受賞できることは非常に名誉なことです。文学界新人賞は、文芸雑誌「文學界」に受賞作品が掲載されることでご存じの方が多いのではないでしょうか。

社内表彰制度のメリット

社員のモチベーションアップや組織の生産性向上につながる

社内表彰制度の基本は、頑張っている社員をほめるというシンプルなことですが、表彰された社員は名誉に思い、「もっと頑張ろう!」と仕事へのモチベーションが上がるものです。表彰されなかった社員も、頑張って自分も選ばれたいと願いながら業務にあたるようになり、組織全体の士気が高まり、生産性の向上につながります。

企業理念や運営方針に基づいた一貫した基準があれば、どのくらい頑張れば会社から評価されるということがある程度わかるので、社員一人ひとりが目標達成を目指して仕事に取り組めるでしょう。競争心をあおるのではなく、表彰という形で実績を正しく評価する姿勢を社員に示すことは、組織活動の活性化につながります。

企業が目指す将来像を社員に伝えられる

頑張っている社員を表彰することで、企業が求める理想の人物像を啓示できるので、企業が目指す方向性や将来像を伝えることができます。

どの企業にも理念やビジョンがありますが、それらを社員と共有することは実際難しいのではないでしょうか。言い換えると、経営理念を聞いても、社員は会社の将来像を具体的に思い描くことは難しいと思われます。

しかし、この表彰という制度によって企業が考える理想の社員像を伝えることは可能です。表彰の対象を社内全体に見えるようにすることで、企業の目指す方向性や将来像を社内全体で共有できるのではないでしょうか。

愛社精神が育まれる

社内表彰制度は、会社への愛社精神を育てたい場合にも効果的です。努力して成果をあげたら、その成果に対して正当に評価してくれる会社は社員からの信頼感が高くなります。

表彰制度の基準がわかれば、会社が目指す方向も自ずとわかってくるので、社員の士気が高まったり、社員同士で協力が生まれたりなど、団結力が向上してきます。

このように、社内表彰制度は組織への帰属意識を高めるというメリットが生まれるため、会社にも愛着がわき、しっかりと評価してくれる会社のために頑張ろうという気持ちが愛社精神へとつながるはずです。

<h2>社内表彰制度のデメリット

社内表彰制度はメリットばかりではありません。以下のようなデメリットも存在します。

受賞できなかった社員のモチベーション低下

表彰制度は社員全体を公平に評価して初めて企業全体の活性化につながります。しかし、公平に評価されていない場合、いつも受賞できない社員に「自分がいくら努力しても見られていない、努力したって無駄」と思わせてしまい、モチベーションアップどころかダウンする人も出てきます。

とくに表彰される人というのは、目立つ存在の人が多く、選考する管理職の目に留まりやすいので、受賞しやすいといえるかもしれません。しかし、社内全体に目を向けると、地味に頑張っている人とかがいるはずですが、そういう人は管理職に見逃されがちです。そういった見落とされてしまう人は、とくにモチベーションが下がることが懸念されます。

社員同士の関係性が悪くなることもある

表彰制度は競争心をあおるために設定されるものではありませんが、上下間あるいは同僚同士をライバル視することになりかねません。営業職などでは競争心はプラスに働く場合もありますが、団結や協力が必要な職種では業務に支障が出やすくなり、社員同士の関係性がギクシャクしてくるでしょう。

社内表彰制度を導入する際の注意点

社員全員に喜んでもらえるような表彰制度にするためには、導入にあたり、どのようなことを注意したらよいでしょうか。ポイントを3つご紹介します。

受賞には公平性や納得感が重要

社内表彰制度は、社員のだれもが納得できるように、偏りがなく、透明性があることがとても大切なポイントです。部署や担当業務によって表彰対象に偏りが出ると、不満が出てきます。そのために、基準づくりでの公平さが重要です。

また、客観的に見て誰にもわかりやすい基準を設けるようにしましょう。たとえば、具体的な数値目標や改善効果の判断基準など、明確な目標を決めておくことも一つの方法です。

表彰の基準が決まったら、表彰する理由を明確にすることで、社員も納得でき、不満を感じる社員が少なくなるでしょう。

周りへ配慮する

個人の受賞が一人の力によるものであるのはごく稀なケースであり、多くの場合は、周囲の人たちの協力があったからこそ受賞できるのです。

そこで、受賞者をサポートしてきた社員も表彰する形にすると、職場やチームの人間関係がさらに良くなるでしょう。例えば、たくさん契約をとっている営業マンは、業績が数字でわかるため、評価しやすいですが、その裏で契約後の事務を担当している社員がいるはずです。そういう目立たないけれどミスなく多くの仕事をこなしている人にも、ときには目を向けてほしいですね。

<h3>感謝を伝える場にする

表彰制度は、これまで人事制度の一環として捉えられていました。しかし、近年では、人事制度というよりも企業や周囲の人たちからの「感謝」が重要視されています。また、感謝の気持ちを形にできる商品が選ばれる傾向があり、社員がもらって喜びそうなものを感謝の言葉と一緒に贈呈するケースが多くなってきます。

これからは、昇格や昇進などの人事制度にとらわれない、自由度の高い表彰制度のあり方が必要といえるでしょう。

正社員だけではなく、非正規社員も対象とする

職種によっては、たくさんの非正規社員で成り立っている企業もあります。このような企業では、非正規社員も表彰の対象に含めることで、会社全体の活性化につながるでしょう。

とくにサービス業などでアルバイトやパートタイマーを多く雇用している企業では、表彰制度を有効に活用するとよいのではないでしょうか。

そのためには、受賞の対象をどこに置くか、またどこまで広げるかをじっくりと検討することが大切です。例えば、飲食業などでは、いつも笑顔で接客しているなど、従業員の接客態度にフォーカスするのもよいでしょう。

いかがでしたか。日本の多くの企業で導入している社内表彰などの制度は、個人やチームのやる気を引き出すことが組織全体の業績に直結するとされています。一方で、表彰制度が形骸化してきて、運用に悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。

すべての社員を公平に評価できるのがベストですが、そのためにも、もう一度社内表彰の本来の目的に戻って、表彰の基準、選考のプロセスなどを見直してみるとよいでしょう。

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